塩は日本古来からの天然海塩なら高血圧に関係ない事実

はじめに

「塩は体に悪い」「減塩は体にいい」という認識は、日本の健康常識として広く受け入れられています。スーパーやコンビニの棚には、「無塩」「減塩」「塩分○%カット」の文字が踊り、厚生労働省も食塩摂取量の目標値を引き下げるなど、官民挙げての減塩志向が進められてきました。実際に、日本人の1日あたりの食塩摂取量は、1990年の12.5gから2014年には9.7gへと約22%も減少しています。

しかし、その一方で高血圧症患者数は約610万人から約1011万人へと、約66%も増加しているのです。この現象は、塩分摂取量の減少と高血圧症の増加が無関係であること、あるいは少なくとも塩分が高血圧症の主要な要因ではない可能性を示唆しています。ここでは、減塩が必ずしも健康に良いわけではない理由について、詳しく探ってみましょう。

 

減塩のリスクとその根拠

そもそも「塩=悪」という認識は、1954年にアメリカの高血圧専門医ダール博士が行った疫学調査の影響が大きいです。彼は、日本の東北地方で高血圧症患者が多いことに着目し、この地域の人々の食生活を調べました。結果、東北地方の人々は1日27〜28gもの食塩を摂取しており、高血圧症の発症率が40%と高かったのです。しかし、この調査では、寒さによる血管収縮などの他の要因は考慮されていませんでした。

その後の研究では、ナトリウムが血管を収縮させることが証明され、塩(ナトリウムを含む塩化ナトリウム)を控えれば高血圧症が予防できるという説が定着しました。しかし、近年の研究では、減塩が必ずしも健康に良いとは限らないことが明らかになっています。2014年に『The New England Journal of Medicine』で発表された研究では、1日の塩分摂取量が「非常に多い」または「非常に少ない」場合に心血管疾患や死亡率のリスクが高まることが示されています。適度な塩分摂取が、リスクを低減する可能性があるのです。

さらに、2011年の『Journal of American Medical Association』での研究では、塩分摂取量が多いほど死亡率が低かった事例も報告されています。これらの研究結果は、減塩が必ずしも健康を守るための最善の方法ではないことを示唆しています。

塩分摂取と健康の関係

ナトリウムは血管を収縮させる働きがありますが、塩はナトリウムと塩素が結びついた塩化ナトリウムであり、これ以外にもさまざまなミネラルを含んでいます。例えば、カリウムは血管を拡張させる働きを持ち、ナトリウムの逆の効果を発揮します。したがって、塩に含まれるミネラルバランスが重要です。

人体は、過剰な栄養素を排出し、不足した栄養素を再吸収するメカニズムを備えています。例えば、汗をかくとナトリウムや塩素を再吸収する機能があります。しかし、現代の精製塩(塩化ナトリウム純度99%以上)はミネラルをほとんど含まないため、ナトリウムが体外に排出されにくく、血管収縮の効果が強く表れてしまいます。

適切な塩の選び方

自然の塩には、海塩、岩塩、湖塩があります。中でも、海塩はミネラルバランスが整っているため、健康に良いとされています。精製塩は、イオン交換膜でろ過し、ほとんどのミネラルを除去してしまうため、ナトリウムの効果が強く現れるのです。

良い塩を選ぶ際には、ミネラルバランスが取れた海塩を選ぶことが重要です。また、海塩を焼いて有害物質を取り除いた「焼き塩」は、さらに健康に良い選択肢です。おすすめの製品としては、「海の精 やきしお」などがあります。

塩分摂取量の目安

適切な塩分摂取量は個々の体調や生活習慣によって異なりますが、一般的には体液の塩分濃度と同じ0.9%前後が理想とされています。これに基づいて、味見をしながら自分が「おいしい」と感じる塩梅で食べることが、健康にも最適です。

野菜にはカリウムが多く含まれており、塩を振ることでナトリウムを補い、味のバランスが整います。塩の摂取は、食材の栄養素との兼ね合いで調整することが重要です。

まとめ

「塩は体に悪い」「減塩は体にいい」という常識は、近年の研究結果により見直されるべきです。ナトリウムとカリウム、その他のミネラルのバランスが取れた塩を適量摂取することが、健康を維持するためには重要です。自然の塩を選び、バランスの取れた食生活を心がけることが、真の健康への道となるでしょう。

 

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